ガンガン!
(初級の入り口へ向かって⑧)
もしかしたら人生で一番縛られていない開放感いっぱいのときだったかもしれない。
高校入学までの準備期間は制服の準備(西高は学生服だったから校章とボタンだけを用意)ぐらいで強制的にしなければならないことはほとんどなく、ゆったりした期間だった。
外は晴れの日が多かったが道路は溶けた雪でグシャグシャ・・・ 4月になったばかりの函館は空こそ青いが気温はまだ低い。
開放的な気持ちの15歳のわたくしは開放弦を高らかに響かせていたのであります。
何度も何度も・・・ 同じ開放弦・・・
6弦の開放弦から始まる弾むような曲・・・ それは・・・
「スペイン舞曲第5番(アンダルーサ)」
E.グラナドスの曲。(編曲はM.リョベート)
今思えば初心者の自分には無謀な曲。でもNHK・FMで放送されたのをたまたま録音してあり後輩のWから借りていた現代ギターのなかに楽譜があったため軽い気持ちでチャレンジし始めたのだ。
なぜこの曲だったのか? たぶん「スペイン舞曲」という言葉の響きに魅力を感じたのだと思う。完全な自己陶酔の世界。(いや完全な勘違いの世界)
入学式までの期間は、この曲しか練習しなかった。
[楽譜を読む]というより[楽譜をたどる]ような感じ・・・ 一音一音、確認しながら正しいフレットを探して押さえてみる・・・ このスタイルは今も変わらないが当時の自分には果てしなく地道な作業だったことは確か。
4小節進めるのに3日は掛かっていたと思う。かなりのスローペース・・・
そして何度も何度も繰り返し録音したものを聴く。
そのときの自分を突き動かしていたのは・・・
ただただ「スペイン」という言葉の美しい響きだけ。はっきり言って「見栄」をはっていただけ。
でも、なぜかそれが持続していったのだ。
美しい青空の日。入学式はおっかー(当時35歳!)と行く。
新しい仲間との出会い。
1年1組。I先生(50歳くらいの男性)はとっても痩せていて大丈夫か?と思うくらいだ・・・生物担当らしい。ある意味ぴったりだ。
窓から見える函館どっくや元町の景色はとてもきれい・・・(5組~8組はハリストス正教会が見えてちょっとうらやましかったが)
「えー、ではクラスの各委員を決めます。」とI先生。
「実は私があらかじめ案を考えてきました。基本的に経験や内申書を参考にしています。ではまずクラスの代表である議長から・・・」
「〇〇!」
え?だれだれ?というようにみんな顔を見合わせている・・・ ぼーっと外の景色を眺めているわたくし・・・
「〇〇!」 と再コールするI先生。
???何?オレかあ!!!
(またまたやるんですかあ・・・ 確かに中学の3年間は全て学級委員でしたけどお・・・)
「キミのように実績があるほうがうまくいくと思うんだよね。どうかな?やってくれるよね。」
みんなの視線が一気にわたくしのもとへ・・・その目は期待と責任逃れ?
「はい!!頑張ります!」
(あー、勢いで言っちゃった。またまたいいふりこいちゃった)
高校の芸術科目は選択制で美術・音楽・書道のうちからひとつを選ぶことになっていた。
わたくしは当然のように音楽を選択。それがM先生(4組担任で40歳くらいの男性)との運命的な出会いになろうとしていたのです。
(つづく)
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)










最近のコメント